- 投稿日
- 2025.05.06
2024年のセンバツから導入された新基準バット。
選手の安全性を考慮され、低反発の仕様に変更されたことにより本塁打数は激減したが、得点数はどう変わったのか。
直近10年のセンバツを元に傾向を見てみたい。
本塁打数は激減しているが…
まずは本塁打数。
最大直径が3ミリ短い64ミリに縮小され、反発性能が抑えられたことにより平均の打球速度が3%以上減少したと言われている。
直近10年のセンバツ本塁打数
第97回(2025年) | 6本 |
---|---|
第96回(2024年) | 3本 |
第95回(2023年) | 12本 |
第94回(2022年) | 18本 |
第93回(2021年) | 9本 |
第92回(2020年) | 中止 |
第91回(2019年) | 19本 |
第90回(2018年) | 20本 |
第89回(2017年) | 23本 |
第88回(2016年) | 16本 |
この影響を受けてか、導入した96回を皮切りにやはり本塁打数は激減。
96回、97回ともにランニング本塁打を含む数字となっており、柵越えは至難の業になったと考えられる。
では得点数はどうなったのか。
直近10年のセンバツ得点数(全32校の総得点)
第97回(2025年) | 285 |
---|---|
第96回(2024年) | 200 |
第95回(2023年) | 245 |
第94回(2022年) | 263 |
第93回(2021年) | 242 |
第92回(2020年) | 中止 |
第91回(2019年) | 246 |
第90回(2018年) | 331 |
第89回(2017年) | 333 |
第88回(2016年) | 213 |
導入直後の96回は200まで減少し、各チームは大きな得点力不足に悩まされた。
芯で捉えた打球も失速し、中々外野の頭を越すことができず、過去10年間で最小の得点数にとどまった。
しかし、今年(2025年)の得点数は285に増加。
導入直前である2023年の245を上回っており、直近10年では2018年、2017年に次いで3番目に多い数字となった。
これには2つの要因が考えられる。
1.正しいスイングで強い打球を打てるようになった
1つ目は各チームが新基準バットに順応し、正しいスイングで強い打球を打つことができるようになったこと。
去年(2024年)は順応する期間が足りず、力ない打球が目に付くことが多かったが、この1年間各選手がスイングやトレーニングを追求し、低反発のバットでも強い打球を打てるようになったと考えられる。
その証拠に柵越えの本塁打数が増加し、外野の間を抜ける打球も多く見受けられた。
2. 戦術の進化(機動力野球やバント戦術)
2つ目は戦術の進化。
長打の期待値が下がったことにより、バントや盗塁といった機動力野球が改めて重要視されるようになった。
足を使った攻撃での進塁や得点を目指し、1点を取るための戦術に磨きがかかったことが得点数増加に繋がったと考えられる。
副産物として期待される、守備力と投手力の向上
低反発バットの影響は打撃力だけとは考えられていない。
打撃力の低下により、守備力や投手力が注目されるようになった。
強い打球の確率が低いため、取れるアウトを確実に取れなければそれだけ敗戦の可能性が高くなるためである。
ランナーを確実にアウトにする基本動作や投手のコントロールの正確さなどが重要性を増し、それらが副次的効果として向上すると考えられているのだ。
低反発バットの導入は戦況や結果に確実に影響を与えているが、むしろ肯定的に捉えられている傾向が出てきている。
正しいスイングやトレーニング、野球自体の戦術が見直されるようになり、本来の野球のあるべき姿へ近づいているという考え方だ。
環境や条件の変化による影響はあるが、それらを前向きに捉え、進化を追求する高校球児、指導者たちのさらなる活躍に期待していきたい。